アイキャッチ画像は 臨床検査 増刊号Vol.58 No.11 2014年 10月 30日版 1227-34より引用しております.
個人的には臨床家として知っていて損のない,いい記事が沢山あります.¥5,000とお安くはないですが,病院に一冊あるといいですね.ちなみに管理人は病院のを見ています.
1884年にベルリンでハンス・グラムが発明してから早130年あまり,一口にグラム染色と言っても様々な方法に枝分かれをしてきました.
と言っても,根本原理は変わらず,
- 青系色素によるグラム陽性菌の染色
- ヨウ素を含む溶液による媒染
- アルコールあるいはアセトンアルコールによる『分別』
- 赤系色素によるグラム陰性菌の染色
という手順です.中には2と3を同時に済ませてしまう方法もあるのですが,どの方法が導入されているかは施設によって本当様々ですし,使い分けをしているところもあるかもしれません.
このページでは,現在日本で使用可能なグラム染色の方法,特徴,キットに関してざっくりと見てみたいと思います.図がそうなのですが,
Gram-stain.comで使用している染色液は70%がBartholomew & Mitterの変法です.
残り20%が西岡の方法です.10%は墨汁だとか抗酸菌染色だとかです.
一番わかり易いのはGram陽性菌の染まり方でしょうか.素人の管理人でも分かったのは,GPCあるいはCandida属を染めた時ですね.
確かに青く染まりますね.個人的にやったことのある染色法の感想としては
Bartholomew & Mitterの変法
- 手順は多いが1つあたりの待ち時間は少ないので,結局西岡の方法と同じくらい.(体感こっちがスピーディ)
- GPCは紫っぽいので,本当にグラム陽性なのか後染色が濃すぎるのかわかりにくい.
- やり慣れているのはやはり頻度の多かったこっちです.
西岡の方法
- 手順は少ないもがGPC染色と媒染の待ち時間が長い(短縮しても40秒くらいはほしいです.)
- GPCの染色は美しい青なので,視認性がよい.←個人的にこの青は好きです.
という感じでしょうか.また,図を引用した元記事によると後染色の液でも違いがあって,サフラニンは生体細胞の内部構造が明細になる一方,CampylobacterやHeamphillusは染色性が悪いそうです.どっちも小さい菌で,もともと見つかりにくいのに,困ったモンです.
某レジデントマニュアルの先生は『〇〇染色が好き』なんてコメントを発されてましたが,今になってそこまでこだわる意義がわかってきましたね..皆さんの病院ではどちらの方法が採られていますか?
何かあれば!
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