Neisseria gonorrhoeae〔淋菌〕

Neisseria gonorrhoeae〔淋菌〕
尿
染色像
グラム陰性球菌(Gram Negative Coccus)
グラム陰性の双球菌: Gram Negaitive Diplo-Coccus
染色の特徴
  • 小さめでよくよく見ないと見逃してしまう
頻度
★★☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: AZM
抗菌薬の待てない人: CTRX
エラー注意
  • モラキセラや髄膜炎菌とは区別不能
  • 他のSTI検索を忘れずに!Chlamydia trachomatisは20~30%合併している.もう合併前提と思ってもイイ.
  • 検体は冷蔵してしまうと淋菌が死滅してしまう。速やかな検査提出が必要。
ポイント
  • ドイツの皮膚科学者で細菌学者でもあるナイセルAlbert Neisser(1855―1916)によって発見された菌であり,古くから性感染症として認識されていた.
  • 基本的には尿道炎の症状として出現し,潜伏期は2~7日となっている.STIの原則通り,多くは他のSTIを合併しており,CDCは本菌の感染を認識したらクラミジアは治療すべきとの見解を示している.[1]
  • 診断は有症状の男性には尿道分泌物のGram染色が非常に精度が高く(感度99%,特異度95%),疑った場合には施行することが望ましい. が,無症候性あるいは女性の膣分泌物の検鏡はさほど検出力が高くないため,陰性といって除外にはならない.[2]
  • PIDの主要な原因菌であるとともに,不妊などの合併症,HIVの波及を促進するなどの影響もあり[3],公衆衛生的にもかなり重要な病原菌であると言える.
  • 治療はCDCの推奨ではCTRXの筋注ならびにAZM経口の併用を進めており,かつてセフィキシムの経口投与も推奨されていたが,耐性菌の増加により推奨を取りやめた.[4]
  • 治療効果の確認は無症候でも治療完遂後3~4週間後に行われるべきであり,症状が持続する場合にはクラミジアの検索を欠かさないようにする.薬剤感受性は常に検討する.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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