染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
染色の特徴
- 莢膜を有するため周囲が抜けて見える(本標本ではあまり目立たない)
- 太くてぼてっとした形で四角いイメージ。
頻度
★☆☆
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てない人:
MEPM OR CFPM
髄液検体からの検出である以上,待てる人は存在しないと考えて良い.
ポイント
- やや古いレビューからの参照であるが,腸内細菌科を含むGNRが髄液から検出される頻度は一般に3%以下であるとされている.[1] 多くの場合は院内感染で,脳外科的な介入を行った後である.(この場合は33%程度は検出される)
- グラム陰性桿菌による髄膜炎は上記のごとく非常に稀で,いきなり髄膜炎となったというよりは、どこか他の場所(Primary focus)から血行性に播種したものと考えるべきである。日本、とくに沖縄周辺の亜熱帯地方では糞線虫の播種性感染の結果であることもあるため、居住歴や直近のステロイド使用に注意が必要する。
- 本症例に於けるPrimary focusは肝膿瘍であり,いわゆるPrimary liver abscess syndrome + Metastatic infectionであると考えられた.台湾をはじめとするアジア地域で猛威を振るうこの症候群は,高病原性のKlebsiellaによるものである事がほとんどである.[2]
- Hypermucoviscosity phenotypeと呼ばれるこれらの高病原性Klebsiellaは莢膜の過剰産生により好中球による貪食などの免疫機構をスルーし,眼(眼内炎)・髄膜炎・脳膿瘍といった中枢神経系に高頻度に播種病変を形成する.[3]
- なお,その他肺野の敗血症性塞栓症・椎体炎・壊死性筋膜炎・骨髄炎などに播種性感染した報告がある.
- こういった莢膜過剰産生の特徴は実はマクロでも観察出来る。培養で検出したコロニーを白金耳でつついて持ち上げて見るといい。高病原性なら長く糸を引いて、なかなか単離できない筈である。この実験はString testという名がついていて、5mm以上糸を引けば高病原性を想定しないといけない.[4] 参考画像に載せておく.
参考文献
- [1] N Engl J Med. 1993 Jan 7;328(1):21-8.
- [2] J Microbiol Immunol Infect. 2004 Jun;37(3):176-84.
- [3] Clin Infect Dis. 2007 Aug 1;45(3):284-93. Epub 2007 Jun 19.
- [4] Open Microbiol J. 2011; 5: 107–113.
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