Salmonella enterica 〔サルモネラ〕

Salmonella enterica 〔サルモネラ〕
血液
染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
染色の特徴
  • 一般的な腸内細菌群と同じで両端の染色性のいいグラム陰性桿菌である。0.5 × 2 µm
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: LVFX
抗菌薬の待てない人: CTRX
ニューキノロンが治療効果が高いとされるものの、キノロン耐性菌も存在する。その場合にはCTRXが選択肢となる。
エラー注意
  • 腸内細菌とは染色上区別できないが臨床症状や病歴からは疑う事ができる.
ポイント
  • Daniel Elmer Salmonにより,本菌種の標準菌であるブタコレラ菌 (S. Choleraesuis)が発見されたことから,Salmonellaという属名がつけられた.
  • Non typhoid salmonellaによる感染は多くの場合はSelf limitedな胃腸炎となる.典型的には汚染物の摂取から12~48時間後に発症.血便でない泥状便が中等量というパターンが最多であり,コレラ用の多量の水様下痢などは実は典型的でない.
  • 血管内皮への感染性が強いため、血液培養陽性例では感染性大動脈瘤、IEへの発展を常に警戒せねばならない.
  • チフス型でないサルモネラによる侵襲性感染はAIDSの指標疾患の一つとなる程度には免疫不全の存在が示唆される.が,普通に起こることもあるので,そこは十全なリスク評価で対応出来るだろう.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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