パラメータ

パラメータにはどんな感染でも症状の出現し得る全身パラメータとその臓器に感染したときに特異的に出現する局所パラメータがある。

全身パラメータ
倦怠感、食欲、睡眠
体温、脈拍、血圧、呼吸数、意識
白血球、CRP、血沈

局所パラメータ
肺炎:
咳、痰、呼吸苦、呼吸数、呼吸音、SpO2、喀痰Gram染色
*crackleは治療に反応するとpan→late inspiratory crackleに変化
*胸部X線は残存することあり

腎盂腎炎:
排尿時痛、頻尿、嘔気、腰痛、倦怠感、CVA叩打痛、尿Gram染色
*治療抵抗例ではエコーで膿瘍形成ないか確認必要

皮膚・軟部組織感染症:
熱感、腫脹、発赤、圧痛、発赤や圧痛の範囲、浸出液のGram染色
*浸出液の培養を鵜呑みにしない
*いずれのパラメータも改善・悪化が速い

消化器感染症:
腹痛、嘔気、嘔吐、排便、圧痛、腹部膨満

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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