Anaerobiospirillum succiniciproducens〔嫌気性らせん桿菌〕

Anaerobiospirillum succiniciproducens〔嫌気性らせん桿菌〕
血液
染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
染色の特徴
  • Gram陰性のらせん桿菌.3~4回転未満.
  • 良く似た像にCampylobacterがある.
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: 第一選択は不明
抗菌薬の待てない人: カルバペネム OR CPFX
MNZ,CLDMには耐性が一定頻度あるようだ.[2]
ポイント
  • 1976年にビーグル犬の糞便および咽頭スワブから初めて分離された.そして1981年には菌血症のFirst reportがある.[1]
  • らせん桿菌であり,基本的にはヒトの腸内には常在せず,犬・猫の腸内が一般的である.
  • ヒトへの病原性は,健常人には下痢性疾患を引き起こすこそが多い.菌血症はそれとは対照的に背景に何らかの免疫不全を有することが多く,アルコール依存症,悪性疾患,糖尿病,消化管疾患が代表的である.[2]
  • 症例報告の大半は米国であり,地理的な分布がある可能性が当初は示唆されていたが,本症例は日本のものであるし,そのごニュージーランド,香港,南アフリカ,オーストラリアでも報告が相次ぎ,国際的なものであると認識された.
  • 形態的にはCampylobacterと区別が困難であり,区別の為の同定も困難とされる.
  • 薬剤感受性は上記の通り.嫌気性菌全般に使用可能であるはずのMNZに耐性を持つことがあるというのは個人的には興味深い点である.
  • 別アングルの写真を添付しておく.
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グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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