Polymicro〔なんやかんやいっぱい〕

Polymicro〔なんやかんやいっぱい〕
喀痰
染色像
複数菌(Polymaicrobial pattern)
染色の特徴
  • 複数種類の菌が検出されることをこのように表現する.
  • 膿瘍や誤嚥性肺炎などの検体で特徴的である.
頻度
★★★
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: ABPC/SBT OR CTRX
抗菌薬の待てない人: PIPC/TAZ
基本的に口腔内嫌気性菌の関与は想定する.
エラー注意
  • このような染色パターンは必ずしも診断的でない.
  • 唾液の混入などでない,しっかりした膿性成分を観察できたか,確認する.
ポイント
  • 判断の難しいパターンの喀痰である.大きく分けて,以下の様な経緯が考えられる.
  • 誤嚥性肺炎や肺化膿症など,複数菌の関与する呼吸器感染症が実際に存在する場合: この場合は,画像的にも矛盾のない肺炎像(重力効果に矛盾ない位置であるか)が存在し,ふさわしい背景因子がある.その際には,緑膿菌の関与を疑うべきかどうかを発症場所で判断し,抗生剤を選択する.
  • 不良喀痰であり,診断的価値の乏しい場合: 体感としてはこれが最も多い.自力での喀出ができず,鼻腔から吸引痰を行った場合や,口腔内衛生がかなり悪い人でむりやり取った痰など,検体の精度からしてすでにイマイチな場合である.可能ならば,うがいして再提出したり,挿管チューブからの吸引に切り替えたいところであるが,多くの場合はそうはいかない.諦めて重症度に基づいたケアを行う.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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