Polymicrobial bacteremia〔複数菌菌血症〕

Polymicrobial bacteremia〔複数菌菌血症〕
血液
染色像
複数菌(Polymaicrobial pattern)
染色の特徴
  • なんやかんやいっぱい
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: ABPC/SBT
抗菌薬の待てない人: MEPM
ポイント
  • 血球部分の脱色がやや不良であるが,それでも2種の菌体をはっきり確認できる.
  • とあるERにおいて,複数菌の菌血症となった症例を単一菌の菌血症症例と後方視的にケースコントロールすると,死亡率は3倍近くなり(30.3% vs 11,6%),感染源としては腹腔内感染が最も高いリスクとなり(P<0.001),呼吸器感染がそれに続く(P=0.017).また,90日以内の入院歴のある患者において高リスクであった.(P=0.003)[1]
  • 残念なことに,複数菌であるほど,初期の抗生剤加療は不適切であることが多かったようである.(複数菌で不適切53,6% vs 単一菌で不適切23.8% P<0.001)[1]
  • ただし,入院患者となると多少様相が異なる.
  • とあるICUでは院内発症の菌血症のうち20.2%が複数菌の菌血症であった.が,発症時のAPACHEⅡスコア,敗血症性ショックの存在は有意差なく,ICUの入室期間は長いものの90日死亡率においても単一菌菌血症と比して有意差を見いだせなかった.[2]
  • が,上記ICUでは不適切な抗生剤は使用されていなかったとのことであり,ICU settingでの広めな抗生剤投与が奏功していたと思われる.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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