Corynebacterium〔コリネバクテリウム〕

Corynebacterium〔コリネバクテリウム〕
喀痰
染色像
グラム陽性桿菌(Gram Positive Rod)
染色の特徴
  • グラム陽性桿菌で両端が細くなる。
  • バナナの房の様に配置し,GPR-clusterと呼ばれることもある.
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: VCM OR LZD
感受性試験は難しく,基本的にβラクタムは効かない.
エラー注意
  • 院内感染で問題になる.
ポイント
  • 1896年に命名されたグループであり,Coryneはギリシャ語でkoryne:こん棒を意味し,続くBacteriumも短い棒を意味する,もう棒意外のアイデンティティはないと言っても過言ではない菌である.[1]
  • 多くの場合,土や水などの自然に多く存在し,時々人間や動物の表皮などに常在する.
  • Gram染色ではそれこそ棒状に染色され,尖端が細くなる『picket fence』の様になることが特徴とされ,芽胞形成をしないことでBacillusなどと区別する.
  • 菌種としては非常に侵襲性の高いジフテリアとそれ以外のコリネバクテリウムは区別して扱う事が多く,前者は健常者にも疾患を引き起こし,後者は特に免疫不全のある患者に於いて問題となる.
  • さらに,非ジフテリアの感染は市中感染と院内感染で大きくその性質を異にし,市中感染は肺炎から軟部組織感染,IE,咽頭炎など多岐に渡るが,院内発生の症例はほとんどが血管内カテーテルなどの人工物に由来するものとなっている.(但し院内でも肺炎は多い)[1]
  • 感受性検査は往々にして難しいが,多くの種族においてβラクタムの感受性率は低く,基本的に第一選択はグリコペプチド系かそれに準ずる抗MRSA薬にしたほうが無難であるようだ[2]
参考文献
  1. [1]  Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of infectious disease 9th edi
  2. [2]  Antimicrob Agents Chemother. 1995 Jan; 39(1): 208–214.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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