Enterococcus avium〔レア腸球菌〕

Enterococcus avium〔レア腸球菌〕
血液
染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
通常5つ以下の短い連鎖を形成する
染色の特徴
  • やや楕円型のレンサ球菌
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: ABPC
抗菌薬の待てない人: VCM OR DAP
ポイント
  • かつてGroup Q streptococcusと呼ばれていた、人間への感染症を起こすことが比較的稀な起因菌である。
  • いくつかケースシリーズの発表があるが、多くの報告では、胆管炎などを起源とした腹腔内感染での発生が多く、6~7割程度は複数菌菌血症の一員としての分離がされている。[1,2]
  • 腸管ならびに胆管などが代表的な常在箇所であり、この点に関してもその他の腸球菌との大きな違いはないとされている。ただ、Aviumというからにはトリの腸あたりにもいるのであろう。
  • 一般的な腸球菌と同様にセファロスポリン系は全く無効であり、ときにVCMへの耐性を示す。耐性遺伝子はE.feacalisやE,feaciumが化けるVREと同様のVanAを所有していることもあり、注意を要する[3]
  • 治療の注意点としては通常の腸球菌と大きく変化はなく、死亡率としても突出して高いものではない。
参考文献
  1. [1]  European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases March 2012, Volume 31, Issue 3, pp 303–310
  2. [2]  Clin Infect Dis. 1993 Dec;17(6):1006-11.
  3. [3]  Infectious Diseases in Clinical Practice: July 2004 - Volume 12 - Issue 4 - p 239-244
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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