染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
染色性の微妙に良くないGram陽性球菌である。
染色の特徴
- Gram陽性球菌で、画像のようにcluster状に見えることもあれば、4量体、Neisseria状の双球菌、短連鎖となることもある
- グラム染色では脱色を容易に受けてしまうため、Gram陰性に見えることもある
頻度
★☆☆
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人:
ABPC OR MNZ
抗菌薬の待てない人:
VCM+GM
基本的には緑色レンサ球菌に近い抗菌薬選択を行う。
が、ペニシリン感受性のひくい場合もあるので要注意。
が、ペニシリン感受性のひくい場合もあるので要注意。
ポイント
- 1917年に麻疹患者から初めて分離され、当初は麻疹との関連が疑われていた。[1]
- G.bergerie, G.haemolysans, G.morbillorum, G.sanguinisなどが種としては存在し、人間への病原性に関与しているとされる。なお、Gemellaは怪獣映画的に聞こえるが、『小さな双子』という意味で双球菌としての出現が多いという特徴を反映している。
- 人間の粘膜に常在し、咽喉頭・消化管・女性外陰部などの正常細菌叢の一部であることが知られる。その周辺から検体を取った場合、脱色されやすい特徴からGram陰性の双球菌に見えてしまい、当初はNeisseria属に分類されていた。[2]
- 細胞壁は一般的なGram陽性菌に比して薄いものであり、これが染色性の違いに寄与していると考えられている。
- 当初、病原性に関しては懐疑的な見方をされていたが、菌血症や心内膜炎、膿胸、肝膿瘍、脳などの感染症の報告がある。歯科領域の不衛生・観血的治療などが侵襲性感染症のリスク因子ではあるようだ。[2,3]理論的には消化管からの侵入も十分考慮される自体であり、実際に直腸炎から菌血症に至った症例も管理人は経験がある。
- 治療は基本的には緑色レンサ球菌に準じた形で行う。ただ、ペニシリン系への低感受性株の報告もあり、IEなど重篤な全身感染を生じている場合にはVCMを初期治療薬として選択すべきであろう。[4]
参考文献
- [1] October 1988, International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 38: 442-443
- [2] Scand J Infect Dis. 2005;37(5):378-81.
- [3] Colomb Med (Cali). 2014 Apr-Jun; 45(2): 81–84.
- [4] Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of infectious disease 8th edi
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