Candida guilliermondii〔レアカンジダ〕

Candida guilliermondii〔レアカンジダ〕
血液
染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
染色の特徴
  • GPC-hugeと表現されるほど巨大なGPCとして観察される。
  • 仮性菌糸の形成は見られなかった.
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: FLCZ
抗菌薬の待てない人: VRCZ
Candidaはアルビカンスであるかどうかで対応が大きく変化する.
待てそうであればアゾール系抗真菌薬による治療を行い,重症あるいは非アルビカンスを想定する場合にはMCFGを使用する.
コイツに関しては,LAMBは感受性が低い可能性がある.
エラー注意
  • この種に限らず、Candida属の菌血症を確認した際には眼科的診療が必須である。高確率で眼内炎を合併し、自覚症状は不可逆変化が起こるまでないこともある。
  • その他,ルーチンに行うべきは以下 血液培養フォロー 経胸壁心エコー 血管内デバイスの検索
ポイント
  • 数あるNon albicans Candidaの中でもとりわけ情報の少ない菌種である.とあるレビューによれば血液病棟におけるCandida血症において,本菌の関与は11.7%であった.[1]
  • というと結構いそうな印象であるが,世界的な大規模サーベイランスでは本菌はC. lusitanieおよびC. kefryと合わせても2%以下であるとされる.
  • これほどの大きな開きのある原因として,本菌の分布にある程度地域性があることが想定されている.
  • 多くの例でCv-catheterが原因となっており(65.5%),とくに担癌患者において頻度が高い.そして,カテ感染となった場合にはカテーテルの抜去が行われることにより24時間以内の解熱およびカンジダ血症の解消に繋がる.[1]
  • 本菌でさらに特徴的であるのは抗真菌薬の感受性である.ある文献では,すべての抗真菌薬クラスでIn vitroの低感受性であるとされる[2]
  • FLCZ耐性は全体の10~40%で耐性となり,それに準ずる形でVRCZにも耐性を示す.キャンディン系の感受性は新規薬であるアニデュラファンギンには9.8%で耐性ですが,MCFGには感受性のようである.[4]
  • なお,本菌とペアで報告されることもあるC. fementatiは非常に近い近縁種であり,臨床上は区別する意味が殆ど無い.[5]
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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