Klebsiella oxytoca〔クレブシエラ・オキシトカ〕

Klebsiella oxytoca〔クレブシエラ・オキシトカ〕
血液
染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
染色の特徴
  • 腸内細菌科の中でも特に大型で、染色性が良い。
  • 安全ピンSignもわかりやすい。
  • が、血液培養ではその通りの姿にならないこともしばしば。
頻度
★★☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: CEZ OR CMZ OR ABPC/SBT
抗菌薬の待てない人: MEPM OR CFPM
感受性・耐性機序に関してポイント参照
エラー注意
  • 腸内細菌科との区別は困難である.
ポイント
  • 腸内細菌科に属する好気性グラム陰性桿菌。ドイツ系スイス人の病理学者Edwin Klebsにより始めて病原体として同定されたKlebsiellaの1種である.
  • Klebsiella属で人間に病原性をもつのはK. pneumoniae,K, oxytoca,K. granulomatisの3種が知られている.
  • 大まかにはKlebsiella pneumoniaeと同じ病原性を持ち,様々なFocusの院内感染を発症しうる.コイツの血培陽性はKlebsiella菌血症としてUTI,腹腔内にFocusを求めればよい.[1]
  • 時に抗生剤による出血性腸炎の原因となることもあり、『CD toxin陰性の院内下痢』では一度は考慮しても良いかもしれない。
  • KOXY 型 βラクタマーゼという Class Aに分類されるβラクタマーゼを有しており,表現形はESBLのそれとほぼ同じ.しかし,Amp C型のように『最初は感受性なのにいつの間にか耐性』という厄介な耐性形成をする.[2]
参考文献
  1. [1]  Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of infectious disease 9th edi
  2. [2]  Journal of Antimicrobial Chemotherapy (1997) 40, 533–541
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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