Streptococcus gallolyticus〔連鎖球菌〕

Streptococcus gallolyticus〔連鎖球菌〕
血液
染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
グラム陽性連鎖球菌
染色の特徴
  • グラム陽性球菌で、通常長い連鎖状に配置する。
  • 真円でなく,ややつぶれた楕円形をとる.
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: PCG OR ABPC
抗菌薬の待てない人: VCM
エラー注意
  • 大腸病変の精査を!
ポイント
  • かつてStreptococcus bovis〔ウシ連鎖球菌〕と呼ばれていたグループから1990年代に分離した菌種である.
  • 鶏の敗血症にも間々見られる菌であり,Streptococcus suis や Streptococcus canis などと並んで人獣共通感染症として話題となっている.
  • 人間においては約2~10%において便に存在が確認され,IEの起因菌としては数%から25%まで地域により大きく開きがある.[1]
  • 侵襲性感染を来した場合には高率に大腸病変を合併するとされる.あるメタアナリシスでは本菌による侵襲性感染を来した症例に於いて,大腸の腺腫・癌の合併は60%と,明らかに一般人口より多いものであった.[2]
  • 新規に分類された菌であるため,まだまだ報告例は少ないが,日本でも大腸腺腫に伴ったIEなどが報告され始めており,菌の出す酵素が腺腫の悪性化に関与するのではないかとの報告も上がっている.[3]
  • 基本的に薬剤感受性は良好とされているため,ペニシリン系で充分戦える.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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