Neisseria sicca〔口腔内常在菌〕

Neisseria sicca〔口腔内常在菌〕
血液
染色像
グラム陰性球菌(Gram Negative Coccus)
染色の特徴
  • 小型のGNRで背景のゴミに紛れやすい
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: ABPC
抗菌薬の待てない人: CTRX
基本的にはペニシリンの感受性が良好.
ポイント
  • 咽頭や口腔内などの常在してるナイセリア属.SiccaとはDryを意味するラテン語である.最初の同定は1908年に遡り,かつドイツ語のため,管理人も元文献のタイトルを見つけるのが精一杯であった.[1]
  • 基本的には人間への病原性はほぼないとされている.が,脊髄造影などの手技の際に髄腔に侵入し,髄膜炎となった症例[2]や,免疫不全患者における播種感染の報告[3]はある.
  • 概ね薬剤感受性は良好であるようだが,髄膜炎の症例はペニシリン耐性が報告されていた.
  • 症例報告は極めて少なく,特徴を列挙できるほどのデータもないのが現状である.
  • 本症例は歯科治療を受けている患者が,血まみれになるほど歯磨きをしたあとの血液培養であった.一過性の菌血症と判断され,抗菌薬治療はごく短期行われたのみである.
参考文献
  1. [1]  Zentralblatt fur Bakteriologie Parasitenkunde Infektionskrankheiten und Hygiene. Abteilung I, 1908, 59, 457-476.
  2. [2]  Emerg Infect Dis. 2014 Jun;20(6):1023-5.
  3. [3]  Pediatr Infect Dis J. 2009 Jul;28(7):661-3.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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