Enterococcus feacalis 〔腸球菌〕

Enterococcus feacalis 〔腸球菌〕
尿
染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
グラム陽性球菌: Gram Positive Coccus
染色の特徴
  • 小型のグラム陽性菌で、短い連鎖を形成する。(通常5つ以下と言われる)
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: ABPC
抗菌薬の待てない人: VCM+GM
エラー注意
  • カテーテルなどの人工物や先行する合併症のない限り,一般的には尿路感染を起こしにくい.
ポイント
  • 菌血症・感染性心内膜炎の起因菌として非常に重要.血液培養陽性例はすべからくIEの可能性について検討されるべきである.(まずは血液培養再検)
  • 市中での菌血症のOrigineとしては尿路,次いで消化管がおおく,院内感染では尿路と血管内カテーテルが2大巨頭となる.[1]
  • 臨床的に感染を引き起こすのはE,fecalisが80~90%と大部分を占め,E.feaciumが5~15%と続く.E. gallinarum, E. casseliflavus, E. durans, E. avium, E. raffinosisといった種も5%以下とは言え検出がある.[2]
  • VREは1998年に始めてヨーロッパで検出され,VanA,VanB,VanC,VanD,VanE,VanGの5つの耐性遺伝子が判明している.
  • VanCはE. gallinarum, E. casseliflavuにデフォルトで備わっている耐性遺伝子であり,これらの菌種はin vitroでバンコマイシン感受性であっても,バンコマイシンを使用すべきでない.(ABPCは効いたりする.)
  • んでもって,VanC型のVREアウトブレイクしにくく,標準予防策のみで患者隔離は必要ないというデータがある.[3]
参考文献
  1. [1]  Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of infectious disease
  2. [2]  Clin. Microbiol. Rev. October 2000 vol. 13 no. 4 686-707 1 October 2000
  3. [3]  Clin Infect Dis. (2010) 51 (6): 678-683.
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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