Campylobacter jejuni 〔カンピロバクター・ジェジュナイ〕

Campylobacter jejuni 〔カンピロバクター・ジェジュナイ〕
染色像
グラム陰性球菌(Gram Negative Coccus)
染色の特徴
  • グラム陰性の螺旋桿菌。カモメが翼を広げたように見えることからgull wingとおしゃれに呼称される。
  • 実際コイツ、かなり小さい。かなり小さくて染色性が悪いため、『コイツがいる!』と確信を持って見ないとまず見逃す。写真のどこにいるかよく探してみてほしい。
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: なし
抗菌薬の待てない人: AZM OR CPFX OR CLDM OR IPM
エラー注意
  • 上記のごとく、見逃す、というパターンくらいしかエラーのしようがなく、見逃さなくなったらそれは幻視である。
ポイント
  • 鳥類の腸管に生息し、汚染された鶏肉の生食が最大のリスクと言われる。ただの腸炎としての発現が殆どであるが、回盲部周辺の腸間膜リンパ節を好んで攻撃し、あたかも虫垂炎かのような身体所見を呈する事が有名。他にはYersinia、Salmonellaが同様の感染を起こすと言われる。
  • 通常は下痢・嘔吐に対する対症療法のみで警戒する。菌血症も間々見受けられるが、それが検出されるときには多くは元気になってしまっている。治療しなくてもおさまることが十分に期待できる。
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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