染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
小型のGNR
染色の特徴
- Heamophillusによく似た染色像となる。
- 縦列に並ぶような配置が特徴的
頻度
★☆☆
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人:
3週間以上経っていればほぼ無効
抗菌薬の待てない人:
AZM OR CAM OR S/T
エラー注意
- 抗菌薬加療が有効な時期に診断できることはあまりない。。
- 感染力が非常に高いため、適切な対策が必要。
ポイント
- 2018年から全数把握の5類感染症に新規に指定された気道感染症である。
- 人類との付き合いは非常に古く、7世紀の中国の文献にはすでに『100日続く咳嗽』の記載があるという。[1] 初めてpertussisという用語が用いられたのは1679年で、ラテン語の『激しい咳』に由来するものであった。
- 本菌の自然宿主は人間のみであり、非特異的な気道感染症から古典的な百日咳まで様々な重症度の疾患を起こす。潜伏期間は約7~10日程度で、臨床症状として高熱はあまり認めないことが多い。[2] 厄介なのは、発症から約1~2週間ほどの、菌の培養検出が可能なカタル期には特徴的な症状を呈することがあまりないという点である。この初期診断の困難さが、菌検出の難しさに直結している。
- 検査は、培養・血清学的検索・遺伝子同定がある。培養検査は発症2週間以内かつ抗菌薬投与がない状況が望ましいが、特に成人例では菌量が少ない傾向にあることが災いし、検出感度はあまり高くない。
- 血清学的には従来のIgG抗体検出に加え、IgA・IgMの検出検査も保険収載となった。この2つはワクチンによる影響を受けにくい反面、産生のピークがそれぞれ21日、15日あたりとなるなど検査施行のタイミングがやや煩雑となることを把握しておく必要がある。
- 診断方法のトピックとしては、2016年に百日咳菌のLAPM法(遺伝子的同定法)が保険収載されている。特異度が高く、比較的迅速に評価が可能な検査法として期待されている。
- 特徴的な激しい咳は気道表皮の繊毛細胞が毒素で破壊され、咳嗽反射が亢進するためであり、この繊毛細胞が再生するまでの数週間、症状は持続することとなる。つまり、菌がいなくなっても症状は残存し続けるため、3週間以上発症から経過してしまった場合には抗菌薬治療は推奨されない。
- 百日咳のワクチン接種が始まる前は症例の90%以上は小児であったが、今日は成人症例があきらかな増加を見せており、医療関係者を介した院内アウトブレイクなども報告されつつある。[3]
- 感染経路は飛沫感染となり、患者・患者の気道分泌物へ濃厚接触のあった人で、小児、慢性疾患、免疫不全などのある人には暴露後予防としての抗菌薬投与も時に検討される。
参考文献
- [1] Open Forum Infect Dis. 2016;3(1):ofw017. Epub 2016 Jan 29.
- [2] Clin Microbiol Rev. 2005;18(2):326.
- [3] Infect Control Hosp Epidemiol. 2007;28(5):537. Epub 2007 Mar 22.
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