Candida albicans〔カンジダ〕

Candida albicans〔カンジダ〕
尿
染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
GPC-hugeと表現される
染色の特徴
  • 一般菌と比して非常に大型
  • albicansはとくに仮性菌糸を旺盛に生やす
頻度
★★★
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: 本当に『感染』してる?
抗菌薬の待てない人: FLCZ OR MCFG
病原かどうかは慎重に検討が必要.
エラー注意
  • 非アルビカンスカンジダでも仮性菌糸は作ることがある.注意.
ポイント
  • 尿の検鏡あるいは培養で,思いがけずCandidaが検出されることは,存外に多い.が,それが本当の尿路感染であるのか否かは,常に検討課題としてあげるべきである.まずは単純なコロナイゼーションの除外を行うと良い.これには無菌的な手技(充分に消毒を行って)で取られた中間尿で通常十分である.
  • 一応レアではあるものの,Candidaは上部・下部,そして前立腺や精巣上体などの尿路感染の原因となる.
  • Gram染色+検鏡でここまでの仮性菌糸を形成するものは,多くがalbicansで,間々その他のC. parapsilosis や C. tropicalisである.C. glabrataは仮性菌糸形成をしない.
  • もし背景に多彩な細菌が同時に観察されたなら,膀胱膣瘻や膀胱直腸瘻を考慮すべきかもしれないし,稀にある酵母を含んだ円柱があれば,確実な上部尿路の感染があると考えて良い.(管理人は見たことがない)
  • 定量培養は,細菌性の尿路感染において有用な方法であるとされるが,Candidaに関しては残念ながら有用でない.自分で症状を訴えられるはずの患者においては,症状があるかどうかがもっとも重要である.[1]
  • だが,症状の訴えが不可能な患者の場合,そうはいかない.特に,ICUのような重症かつ訴えの困難な患者に於いて,新規のCandida尿は侵襲性感染症のマーカーである可能性がある.[2]
  • なお,成人では稀ながら,NICUなどでのCandida尿症は,腎盂でのFungus ball形成が見られることがあるので,超音波での画像検索が有用となるだろう.[3]
参考文献
  1. [1]  (Clin Infect Dis. 2011 May;52 Suppl 6:S429-32)[https://academic.oup.com/cid/article/52/suppl_6/S452/285004/Candida-Urinary-Tract-Infections-Diagnosis]
  2. [2]  J Trauma. 1993 Aug;35(2):290-4; discussion 294-5.
  3. [3]  Pediatr Infect Dis J , 1997 , vol. 16 (pg. 190 -4 )
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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