Streptococcus dysagalactiae

Streptococcus dysagalactiae
血液
染色像
グラム陽性球菌(Gram Positive Coccus)
染色の特徴
  • 連鎖状であり,GPC-chainと表現される.
  • 6つ以上の長い連鎖を作る.
頻度
★★☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: PCG OR ABPC
抗菌薬の待てない人: VCM
エラー注意
  • 治療開始後もフォローの血液培養を考慮
ポイント
  • レンサ球菌の分類は,溶血型,血清型を用いた従来のものから,DNAによるタイプ分けが主流となってきている.
  • が,想像に難くないことだが,種類分けの更新スピードが異様に早く,某I田先生をして『レンサ球菌の分類は暗記しないようにしている』と言わしめるほどである.
  • 菌血症を起こせば死亡率は15~18%にも上るとされ,近年新興感染症として注目を集めつつある.[1]
  • dysagalactiaeは血清型ではG群というマイナーな群に属するが,性質はむしろGAS:S. pyogenesに近く,化膿性で比較的侵襲度の高い感染症(含Toxic shock syndrome)を引き起こす.反面,悪性腫瘍との関連は従来言われていたよりは低いようである.
  • 患者は50歳以上が90%,特に60台を超えてから急増する.GASよりは蜂窩織炎としての発症が多い.発症者は多くが基礎疾患(糖尿病・悪性腫瘍・肝疾患など)もちである.
  • 普段は上気道ならびに外陰部周辺によく棲んでいる.[2]
参考文献
  1. [1]  Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2014 Aug;33(8):1303-10)
  2. [2]  臨床検査 2014年10月号 (増刊号) ( Vol.58 No.11) 微生物検査 イエローページ
URL :
TRACKBACK URL :

何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

osaka city university