Citrobacter freundii〔シトロバクター〕

Citrobacter freundii〔シトロバクター〕
血液
染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
染色の特徴
  • 中~大型のグラム陰性桿菌として染色される
頻度
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人: CAZ OR PIPC/TAZ
抗菌薬の待てない人: MEPM
エラー注意
  • 腸内細菌群の一種であり,区別は不可能である.
ポイント
  • 932年にアメリカの研究者であるWerkman と Gillen によって命名された種である.[1] そして同年に土壌からC. freundii が単離されている.
  • Enterobacter,Pantoea,Serratia,Hafniaと合わせ,腸内細菌科に属するものの,通常は人の腸内には常在せず,健康な宿主に感染を起こすことは少ない.院内感染の事例が大半である.[2]
  • 感染源としてはUTIが最多であるものの,菌血症や肺炎,骨髄炎を含む多彩な感染をきたしうる.
  • Citrobacter 属ではfreundii においてAmpC型βラクタマーゼの発現があり得るため,特にセファロスポリンの使用には注意が必要であると言える.事実として,EnterobacterならびにCitrobacterの菌血症においては第3世代セファロスポリン耐性は予後不良の独立した危険因子となっている.[3]
  • 菌血症に関しては,エントリー不明が42.3%,呼吸器が20.9%, 消化管が15.3%,尿路が15.3%となっている.が,1998年当初の古い研究であることから,不明の中におそらく相当数カテーテル関連が含まれていると思われる.[4]
参考文献
  1. [1]  J Bacteriol. 1932 Feb; 23(2): 167–182.
  2. [2]  Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of infectious disease 9th edi
  3. [3]  Pharmacotherapy: The Journal of Human Pharmacology and Drug Therapy Volume 27, Issue 2,191–199, February 2007
  4. [4]  Scandinavian Journal of Infectious DiseasesVolume 35, Issue 10, 2003
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何かあれば!

グラム染色の前書き

 風邪にクラビット、肺炎にセフトリアキソン、尿路感染にセフメタゾール...?本当にその抗菌 薬は必要だろうか?その処方は安心を買うためのものだろうか?耐性菌のリスクをどう評価するか? グラム染色は、そんな抗菌薬選択の答えを導くことができる。グラム染色(Gram Stain)をマスターし て、あなたの日常診療の強力に補助するツールを身につけよう。

グラム染色とは…?

 そもそも、グラム染色(Gram Stain)とは、細菌等を染色液によって染め、分類する方法である。名前の由来は1884年にデンマークの医師ハンス・グラムにこの染色法が発明されたことによる。日常診療やERで簡易に施行できるが、臨床での抗菌薬の決定や、治療効果の判定に大きな根拠となる。感 染症内科は言うまでもなく、日常臨床に携わるプライマリ・ケア医や総合診療医、家庭医にも重要な手技である。グラム染色(Gram Stain)は研修医のうちから習熟することが望まれる。

グラム染色のHPについて

 当HP「グラム染色(Gram Stain)」には、グラム染色(Gram Stain)の全てを詰め込んでいる。グラム染色(Gram Stain)の手順から染色像の判定、そして抗菌薬の決定から治療効果の判定までをできるだけ分かりやすく解説したつもりである。また、もしわからなければ、当方に直接相談できる窓口も設けた。どんどん相談してほしい。当ホームページ「グラム染色(Gram Stain)」を少し巡回された方はすぐに気づかれたとは思うが、マニアックなグラム染色像もふんだんに盛り込み、それぞれの菌についてはこころを込めてたくさんのポイントやトリビアを参考文献を付して提示した。患者さんが特殊な感染症にかかった時はもちろん、読み物としても楽しんで欲しい。

みなさまの日常診療の役に立て、少しでも患者さんのためになれば幸いです。

グラム染色(Gram Stain)管理人 代表 麻岡大裕(感染症内科)
平井孝幸(膠原病内科)、濱口政也(総合内科)、松島秀幸(膠原病内科)、植田大樹(放射線科)

大阪市立大学 細菌学教室 公認

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