染色像
グラム陰性桿菌（Gram Negative Rod）
グラム陰性桿菌（Gram Negative Rod）
染色性の悪い細身のGNR
染色の特徴
- 写真のように集族して見られることが多い．
頻度
★☆☆
★☆☆
抗菌薬
抗菌薬の待てる人：
MINO OR LVFX
抗菌薬の待てない人：
S/T
標準治療は存在しない．
ポイント
- ギリシャ語で『黄色』を意味するchruseosが属名の由来となっており，黄色～オレンジの色素を産生する．（画像あり）
- ブドウ糖非発酵菌に属しており，ご他聞に漏れず貧弱な栄養環境でも生存することができる．人間の体表や体内には通常常在しないが，院内を始めとした水系環境，土壌，物品の表面に存在し，主として院内感染の原因となる．
- 感染症のFocusとしては肺炎・菌血症・髄膜炎が代表的．血流感染症はほとんどの症例においてCVCなどの長期留置型カテーテルが使用されており，カテ感染がメインのようである．事前のβラクタム抗菌薬暴露やコリスチン・チゲサイクリンなどへの暴露があるとよりリスクが高まる．[1]
- 染色体上にINDというメタロβラクタマーゼ遺伝子を高確率に保持しており，カルバペネムを始めとした広域βラクタムへの感受性率は低い．また，キノロン耐性決定領域：quinolone resistance-determining regions (QRDRs) の変異も高率であるため，フルオロキノロンへの耐性も当然多い．[1]
- 上記の理由からブドウ糖非発酵菌に対して一般的に用いられる広域βラクタム薬やフルオロキノロンが封じられることとなるため，治療の複雑化は避けられないであろう．
- ミノサイクリンやS/T合剤への感受性は比較的保たれ，治療薬選択の際には有力な候補となる．[1,2]
- なお，Case reportの殆どは院内感染であるが，市中感染もごくごくまれに報告されている．中には免疫正常であるにも関わらず本菌の尿路感染症・菌血症で重症敗血症に至った症例もあるが，まぁ，診断学的なところの『シマウマ』であることは間違いない．[3]
参考画像
参考文献
- [1] Ann Transl Med . 2021 Apr;9(8):668.
- [2] J Microbiol Immunol Infect . 2013 Dec;46(6):425-32.
- [3] J Clin Microbiol. 2014 Nov; 52(11): 4100–4101.
何かあれば！
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