染色像
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
グラム陰性桿菌(Gram Negative Rod)
染色の特徴
- 比較的大きなグラム陰性桿菌。
- 菌の両端がよく染まり、安全ピンの様に見える。他の腸内細菌との区別は難しい。
頻度
★★★
★★★
抗菌薬
抗菌薬の待てる人:
CEZ OR CTM
抗菌薬の待てない人:
CTRX OR MEPM
エラー注意
- 近年,ESBLなどの耐性機構が常態化しつつある
- キノロンの耐性化も激しい
ポイント
- オーストリア人医学者であるTheodor Escherichの名前から属名が決められ,Coliの部分はラテン語表記の『大腸』である.
- 人の常在菌であり,病原体としては尿路,腹腔内,呼吸器,血流,とほぼ全身にわたり感染症を発生しうる.また,抗原型により様々な病原因子を持ち,一般的な感染症に加えて毒素産生などでも問題を起こす.
- 尿路においては非常に一般的な病原体であり,無症候性細菌尿含めあらゆる尿路感染において80%を超える頻度を有する.[1]
- が,どうやら腸管病原性などで明らかなように,あらゆる大腸菌が尿路感染の原因になるわけではなく,接着因子などの得意な病原因子を持った大腸菌:Uropathogenic E. coli:が発生させるようである.抗原型でいうところのO1, O2, O4, O6, O7, O16, O18, O75 がそれにあたる.[2]
- これらの尿路病原性大腸菌は通常人の腸管フローラには28%の頻度で存在しているが,腎盂腎炎の80%,膀胱炎の60%,無症候性細菌尿の30%と分布からは明らかに有意なレベルで尿路感染の原因となっている.[2]また,病原体の他,遺伝子学的な要素についても検討されているが,さしたる結果はない,[1]
- いわゆる膀胱炎がSTIとしての側面を持つのも,他人からUropathogenicな大腸菌を打ち込まれているから,と考えれば合点がいく.
- ペニシリナーゼ,ブロードスペクトラムペニシリナーゼ,ESBL,メタロβラクタマーゼなどβラクタマーゼを中心に多彩な耐性パターンを呈するため,院内,市中いずれでも治療選択肢に迷う事がある.ただ,一つ言えるのは,日本でもインドでもアメリカでも,中等症以上の尿路感染に対してLVFXはもはや使用できないであろうという点である.
参考文献
- [1] Mandell, Douglas, and Bennett’s Principles and Practice of infectious disease 9th edi
- [2] Up to date Bacterial adherence and other virulence factors for urinary tract infection
何かあれば!
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